NISHIOKA DESIGN corporate case.004
大成生コン株式会社 生コン製造業 常務取締役 三宅 様・ 山野 様
ー 大成生コンさんの事業内容をお聞かせください。
三宅さま 私の実家が経営する『大成(たいせい)生コン』は、生コン製造業と言われる業種で、建設業や建築業へコンクリートの材料となる生コンを提供するのが仕事です。
ー その事業を超えて何か新しいことを企画されているとか。
三宅さま 1年半ぐらい前に事業承継のために地元、三豊に戻ったんですが、生コン製造業は需要が減少局面で、同じ延⻑線 上での事業というのは持続可能性の観点から言うと⻑続きはしないと思いました。なのでメチャメチャ変えてやろうと。生コン業と異業種の出会いを作ったり。この先も生き残る事業のかたちを探すためにはこの業界だけではなく、そのなかで働いているひとも変わっていかないといけないという気持ちがあったので、そこにチャレンジしていきましょうということで、新しくこの事務所を作ることを決意しました。
ー そんな新しい挑戦の中、家具のコーディネイトに⻄岡家具を選んだのはどんな理由があったんでしょうか?
三宅さま 理由は二つあって、まず一つは⻄岡家具さんが観音寺・三豊という我々と同じ地域で昔から事業をされていたということ。あと一つは、過去にこの事務所以外の場所でも⻄岡家具さんの家具を何点か入れてもらったんですけれど、その時の⻄岡家具さんの従業員の対応と選んでもらった家具たちが素晴らしかったんです。なので今回の事務所はまるっとすべて⻄岡家具さんにお願いしたいと最初から思っていました。
満井(⻄岡家具 担当スタッフ) ありがとうございます。嬉しい限りでございます。
ー こちらの新事務所への思いやコンセプトをお聞かせください。
三宅さま まずは、従業員が「ここで働いて良かったな」と思えることが第一前提。生コン事業をする我々がのびのびと想像力を発揮できる場所。あとは、生コン業種外の人たちが「ちょっと時間がとれたから、生コン屋に遊びに行こうよ」って言えるような、人が集う場所になってほしい。 ”人が集まる生コン喫茶店” みたいな場所にいろんな人が集まって、いろんなディスカッションができる場所。その二つがコンセプトです。
満井 ⻄岡家具も同じように「人が集う場所を創造したい」という思いを掲げています。とても素晴らしい思いだと思います。
ー 家具選びや全体のコーディネートについて、どんな流れで進んでいきましたか?
三宅さま 斬新であってほしいし、実用面でも不自由のないもの、という大枠だけは作っていました。あとは家具選びから含めて、新入社員の山野に全部任せてみようと、ムチャぶりをしてみました(笑)。満井さんと山野をほったらかしにしておくと、たぶん新しいものが生まれるだろうという直感で。気がついたらこんな空間になりました(笑)。
満井 建物の感じは事前にお聞きしていて、あとはいただいたパースを元に、コンセプトに合う空間を考えました。
山野さま 最初に全体の色を提案してくれました。全体の色味から始まって、満井さんが最初に何パターンか出してくださった中から「これはそっちじゃない、こっち」とか、「これならこっち」っていうお互いの好みを合わせていった感じですよね。
ー 山野さまは、実際にこの空間を作ってみていかがですか?
山野さま 想像以上に良いものになりました。家具のコーディネイトなんて私にはもう全く専門外で、何もわからなかったんですけど、それをそのまま満井さんに投げかけたら全部とても良い感じにしてくれて、もう、すごくよかったです。相談もしやすかったです。
三宅さま 山野が「ブーメラン型(*机の形のこと)っていうのがあるらしいよ」って、何かとんでもないものを発見したみたいな感じで報告してきたんです(笑)。ブーメラン型って初めて聞いて、何だろうと思って調べました。でも結局いろいろ聞いてたら、その山野が選んだブーメラン型の机は海外から取り寄せないといけないから厳しいかも、ってなったんですけどね。
山野さま でもその代わりに、(香川県で大正12年から続く)国産家具メーカーのNICHIBI(ニチビ)さんのことを紹介してくださって。この新事務所のコンセプトにきちんと合ったものを、満井さんがしっかり汲み取ってくれていたのがすごく嬉しくて。今回できたのも、本当にすごい。スゴい(笑)!
三宅さま 最初のそのブーメラン型っていう私たちには新鮮な家具の提案も嬉しかったし、そこからまた満井さんが「地産地消で机を作るのはいかがでしょうか」という提案をしてくれたのが、経営者的にはこう、ハッとさせられたというか。そういう新しい提案をしてくれることが、むちゃくちゃ嬉しかったですね。有り物の製品を海外から取り寄せて配置するのは、インテリアのセンスがある方であれば誰でもできるのかなと思うんですけれど、地産地消をテーマに掲げて「県産材のヒノキを使って、おそらく香川県の中で作られたことがない県産材のブーメラン形デスクを作りませんか?」って言ってくれたときは、 本当に嬉しかったですね。
満井 NICHIBIの社⻑と三宅さんは絶対ウマが合うと思いました。何かが生まれるんじゃないかなと。きっとこれからも。
三宅さま そんな感じはしますね。あの人、変態ですよね(笑)。
満井 お互いじゃないですか(笑)。
山野さま お互いですね(笑)。
三宅さま お互いたぶん、なんか変だけど同じ匂いが。
山野さま 漂ってる。お互い感じ合うものがあったんでしょうね。
三宅さま 同種や(笑)。
全員 (笑)。
三宅さま 他にも、新事務所の応接室を見てくれたらわかるんですけど、海にしてくれってすごく抽象的なことを僕が言ったんです。「もう、海にしたい」って。そしたら菅組の設計士さんが「じゃあ壁は⻘くしますか?」と提案してくれて、壁は⻘で決まりました。けれどもそれに合う家具が、一体どういうものを入れたらいいのか僕にはわからなかったんですけれど、それを受けた満井さんやそのコーディネイトをしてくれた山野がやってくれたのは、本当に海に合うテーブル、椅子を選んでくれて、見たときに「ああ、もうこれは完全に海以外にないわ」って思って。びっくりしました。
山野さま そうですね。あの部屋への思い入れはすごかったですね。
満井 別空間にしたいっておっしゃっていましたよね。
山野さま そう、ガラッと。
満井 入った瞬間に雰囲気が変わるようにしたいと。
三宅さま 平たく言うと、僕がとっ散らかして二人が回収してくれるというか(笑)。
満井 想いを受け取った感じですね。
三宅さま だからたぶん、依頼する側の思いがとっ散らかってても⻄岡家具さんは上手に回収してくれるだろうな、と思っていました。
満井 山野さんという存在のおかげでもありますよ。
山野さま 私はもう楽しく、楽しく。ただただ、ありがたくて。また泣きそうや。すぐ泣いてしまう(笑)。
(ここで新たに別のスタッフさんが入室)
山野さま ちょっとすごくないですか、これ? 激ヤバじゃないですか?
別のスタッフさん すご〜い、めっちゃかっこいい! 思った以上にすごく良いですね。
三宅さま 上の階段から全体を見るともっといいよ。
満井 上から見ると、特にこのデスクの木の色がすごくいいですよね。この色にしてよかった。
三宅さま いやほんとよかった。すごく明るい。
山野さま 私、これ以上満井さんと向き合って座ってたらマジ泣きそう(笑)。
全員 (笑)。
山野さま 卒業式じゃないけど、私、涙もろいんで、すぐ泣いてしまう。泣いてしまう!
満井 せっかくなら最後にグリーン(観葉植物)が来て、全部完成してから泣きましょう(笑)。グリーンが入ったらもう絶対に素敵な仕上がりになりますね。「あぁ〜いい空間になった!」って泣けますね。
ー では最後に、完成をご覧になっていかがですか?
山野さま もう、ただただ、本当にすごい!っていう(笑)。ちょっとほんとに、感極まるものがあります。第1弾の別の事務所へ家具を入れてくれたときも、ほとんど満井さんが選んでくださったんです。そこから、この大仕事だった新事務所の完成なので、一緒にイチからやった感がすごくあって。「うぅっ、ここまできた」みたいな。今回もまた、これが全部仕上がったら今まで以上に泣いてしまう(笑)。本当にそれぐらい嬉しいですね。想像を絶するくらい、いい感じになりました。
三宅さま こうして仕上がった部屋に一歩入ってみると、想像を超えてくる感じが面白くて。やはり想像を超えるのがイノベ ーションじゃないですか。だから生コンの事務所って、今までは劣悪な環境が多いと思うんですけれど、生コンの事務所だからこそ、こんなに豊かな創造空間になり得るんだ、っていうのを目に見えて提供してくれたから。想像を超えてきたなと思いましたね。
満井 こんな貴重なところに携われるっていうのが、この仕事をしてて本当によかったなと。
山野さま ちょっとこの場を離れてもいいですか(笑)。
三宅さま 泣きすぎてメイクが落ちてしまうね(笑)。
満井 ほんと、こういう出会いもやっぱりわずかですし……。
山野さま もうそんな面と向かって言わないで〜(笑)。なんか最後みたいな気がしてしまう。
三宅さま 満井さん、もう退職するんかな(笑)
満井 いやいや!(笑) 今から! 今からまだまだお願いしますってさっきお話ししましたよ(笑)。
三宅さま いやでも、本当によく頑張ったと思いますね、山野は。
山野さま もうダメだ、どっかに行きたい(笑)。
全員 (笑)。
三宅さま たぶん、山野も最初は本当に自信なかったと思います。会社入ったばっかりでいきなりの大仕事で。ほかの従業員に任せたらみんなビビっちゃって。「私にはできない」っていうのを突き進んだというか、僕がいきなり、海!とかって意味のわからないことを言っても、それを回収してかたちにする想像力も必要だっただろうし、結構大変だったと思う。
山野さま ただ家具を提案してくれるっていうだけじゃなくて、こっち側の本当の思いを満井さんがちゃんとわかってくれたから。どの家具を選ぶときでも、私たちの思いをもとに「これだったらこういうのはどうでしょうか」って提案してきてくれ るのがすごく嬉しくて。
三宅さま うまく誘ってくれるというか。気持ちよく導いてくれる。
山野さま 本当にそうです。私、満井さんが好きすぎてね。これが終わったらこれからもうあんまり会えなくなるのかなって思ったら、つらすぎて(笑)。ありがとうございます、ほんとに。
三宅さま (笑)。
満井 そんな、ずっと会えますよ〜!(笑)
三宅さま これがはじまりですよね。
満井 そうです、はじまりです! 本当にありがとうございます。
三宅さま 山野はこれからも、一生懸命いろいろなものを想像していったらいいと思う。
山野さま 本当にもう、ちょっとトイレ行っていいですか(笑)。この(落ちたマスカラの)黒い涙が出始める前に。
三宅さま 黒い涙(笑)。
満井 「自由にやってください、日本一素敵な生コン事務所にしたいんです」っておっしゃったので、その思いをまっすぐ、 手に取ることができてよかったです。
三宅さま あとはそれに応えられるように、僕らも想像力を持続しないといけないというか。これが始まりでしかなくて。ここで実際に働く僕らの仕事で、世の中に還元しないといけない。僕らも世の中に対して新しい価値とか、新しい材料を提供し 続けないといけないから、この家具が入ったらやっぱり身が引き締まる思いがする、というのも経営者の気持ちかな。
満井 今からですよね。いろいろこうして一緒に出来て、いいなって思います。これからもどんどん新しく、よろしくお願いします。
山野さま はい、ぜひよろしくお願いします。
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